電動ガンの流行は、飛距離やハイサイクルから、電子トリガーなどを用いたトリガーレスポンスアップカスタムに移り変わりました。
おそらく、セミオート戦がゲームのメインになっていたり、高性能な電子トリガーが増えたことが後押しの原因にもなっているかと思います。
しかし、流行りものには必ずと言っていいほどいい加減なオカルトカスタムが付きまといます。
ブログのサブタイトルにもありますが、いい加減で適当なオカルトカスタム理論はぶっ壊す方針なので、徹底的に解説していきたいと思います。
記事の信憑性の為に、一応書いておきますが、私のチューンした電動ガンは過去に競技系サバゲーで何度も優勝しております。
そんなわけで、それなりの経験と実測をもとに考察していきたいと思います。
大会優勝機動画はこちら
また、レスポンスアップのための正しい道のりも解説します。
目次
レスポンスの正体
そもそも、電動ガンのレスポンスやキレって何なのでしょうか。
簡単に言ってしまえば、これはただの感覚です。
例えばAさんがキレッキレだと思ってもBさんはそうは思わない可能性もあります。
なぜそうなってしまうかというと、レスポンスやキレという感覚の中には下記の3つが含まれているからです。
①初弾の発射速度
②次弾までの待機時間
③トリガーフィーリング
このどれを重視するかが人によって違い、また求める速さも違うため感覚の話になってしまうのです。
カスタムの指針を考えるうえで、このレスポンスにまつわる要素の分解ができていないと、オカルトやブラシーボ効果に騙されてしまうというわけです。
トリガーフィーリングはさておき、初弾の発射スピードと次弾までの待機時間は現在の高機能電子トリガーであれば計測が可能です。
では、それぞれの要素に合わせて考察していきましょう。
初弾の発射速度
まず要素の1つ目は初弾の発射速度です。
これは簡単に言えば、引き金を引いてから弾が出るまでのスピードのことです。
おそらく、これを重要視してる方は多いのではないでしょうか。
実は、電動ガンの初弾発射スピードは全パワーソース中最下位です。
電動ガンでは、引き金を引いてギアが回転しピストンを引いて、ピストンが解放されたときのパワーで空気を押し出し弾を発射します。このようにガスやエアコキなどに比べて発射までの工程が長く、どうしても初弾が遅くなるのが電動ガンです。
そこで、これを解決するための機能としてプリッコックというピストンを予め後退させておく機能があります。
これをうまく使いこなすことで、コッキング式のエアガンとほぼ同じ挙動で稼働させることができます。
もちろん、通電してモータが動き、ギアを数枚引かなければいけないので若干のタイムラグは発生します。
つまり、電動ガンで初弾の発射速度を高めるためには、以下の方法があります。
①モーターの初動を早くする
②プリコックをギリギリまでかける
細かく言うと、もっと複雑ですが基本的にはモーターパワーをあげるか、プリコックを強くかけることができれば、初弾の発射速度は上がります。
しかし、ここで発生する問題が、モーターパワーをあげすぎると、プリコックがオーバーランしてしまいやすくなることです。
そのため、多くの電子トリガーではモータをーを制御するためのブレーキ機能があります。
プリコックの位置、モーターパワー、ブレーキ、これを使いこなしてバランスをとるのが初弾発射スピードには求められます。
ちなみにこれは高機能な電子トリガーで数値化することができます。
この数値を、何人かの上級者に試してもらい、感覚と数値を合わせたのが下記の表です。
・50ms もっさり、プリコックなし電動ガン
※マルイのノーマルや組付けただけのトレポンなどは50ms~60ms
・40ms ややもっさり プリコックなしのdsg
・30ms 普通 プリコックしたシングルセクターの電動ガン
・25ms さくさく プリコックしたdsg
・20ms 触ったら出る よくできたプリコック
・15ms 触ったら出る とてもよくできたプリコック
※リヴァイアサン計測
正直、普通の感覚だと20ms以下はあまり違いがわからないです。
目安としては30ms程度を基準とし、下記に並べるほかの要素との兼ね合いを考えていくことをおすすめします。
次弾までの待機時間
簡単に言えば、連射速度です。
わかりやすく違いが体感できる部分だと思います。
これに関しては、ダブルタップなどのトリガーを使用してフルオート同様に撃たないのであれば、電子トリガーを搭載すれば特に気にならないかと思います。
しかし、細かく考えるのであればそれなりにやれることはあります。
特に、上級者の方はご存じかもしれませんが、逆転防止ラッチとベベルギアの見直しです。
プリコックをかけているとどうしてもピストンが後退した状態から前に戻ろうとします。
これを抑えるのが逆転防止ラッチですが、ラッチを付けていてもわずかに前進してしまいます。
これがラッチの枚数が少なかったり嚙み合いが悪いと、前進量が多くなり動作感が不快になるとともに、次弾までのラグにもつながります。
そのため、プリコックをかける際は見直しもおすすめします。
確認方法は簡単で、ラッチとギアをメカボに組付けた状態で回しながら確認するのが良いと思います。
分割式ののギアボックスだとやりやすいです。
また、一般的にサイクルが遅すぎると、待機時間は長くなります。
簡単に説明すれば、セミオートの連射で、フルオートのサイクルを超えることはないからです。
※電子制御でサイクルを落としている時を除く
そのため、ハイサイクルの方が一般的には待機時間が短いということになります。
トリガーフィーリング
一般的に撃ち感と言われる部分になります。
これはほぼ好みで、トリガースプリングの強さや引きしろ激発位置などもここに含まれます。
その他の要素としては、電動ガン特有のノイズ感や振動などが少ない場合もトリガーフィーリングが良いと感じるかと思います。
しっかりと内部調整し、トリガーを好みに調整すれば自分好みになると思います。
11.1vのバッテリーを使うとレスポンスアップ?
結論を言えば、モーターパワーが上がり初弾の発射スピードから次弾の発射速度も上がるのでレスポンスが上がることもあります。
しかし、必ずしもメリットばかりではありません。電装系への負担が大幅に上がることで、電子トリガーやモータへのダメージもありますし、その分挙動が不安定になることもあります。
デメリットを理解して使う分には問題ないですが、脳死で11.1vバッテリーを突っ込むとろくなことがありません。
当然、クラッシュもあり得ます。
またうまく組めていれば7.4vで十分なことが多いです。
とりあえず11.1v入れればレスポンスが上がる…の感覚で使うのはおすすめできません。
よく考えてから使用しましょう。
ちなみにリンクの動画はどちらも7.4vです。
ちなみにおすすめのバッテリーはSFA製です。
ただし、ハイCレートは動作感がそれなりに変わるのでご注意を。
DSGカスタムでレスポンスアップ?
こちらもDSGカスタムのうまくいったときの効果だけが独り歩きしています。
確かに、ギアが半分になるので、初弾の発射スピードや次弾までの待機時間は短くなりますが、その分デメリットもたくさんあります。
DSGのデメリットに関しては、下記の記事をご参考ください。
DSGは夢のパーツではない?
モーターの交換でレスポンスアップ?
何回も同じことを書きますが、モーターだけ変えて性能アップ…なんて考えていると、痛い目に合うので気を付けてください。
ここまで読んでいる方はそんなことしないと思いますが…
ということで、おすすめのモーターは下記のリンクからどうぞ…
コネクター交換について
正直、ここまで読んでくれている方はコネクターの交換なんて当たり前にしていると思いますが、万が一タミヤコネクタのまま使っている方がいるのであれば…まあ電子トリガー使っている方でそんな方はあまりいないかもしれませんが…
個人的にはXT60がおすすめです。
簡単にレスポンスをあげる方法は?
比較的コストもかけずレスポンスをあげたい…という場合でも電子トリガーの搭載をおすすめします。
費用対効果を考えると、ノーマルスイッチと比べると天と地の差です。
今は1万円そこらで電子トリガーが買えますからね、下手なことをするより安いです。
個人的なおすすめはASTERかLeviathanです。
まあ好みですね。
もっと節約したいのであれば、逆転防止ラッチの枚数を増やしてあげたり、スプリングレートを下げたりでしょうか?
あとはFETやショートストロークスイッチなんかもありますが、費用対効果を考えると、電子トリガーに対応していない機種に取り付ける程度でしょうか。
まあもっと簡単なのは、電子トリガー搭載機種を買ってしまうことですかね。
電子トリガー後付けより安く済んだりします。
個人的には最近ダブルイーグルの Aeroknoxを推してます。
ハイクラスモデルであれば、元から最新の電子トリガーが内蔵されており、箱出しでそれなりに使えます。
まとめ
読んでわかってもらえたかと思いますが、割と複雑で難しい要素がごちゃ混ぜになっています。
これでもかなり簡素に説明しているのですが…
そのため、モーターパワーで無理やり稼働させているだけでも、初心者からするとキレキレに感じてしまうんですね…
このあたりに飛距離のオカルトカスタムと同じものを感じます。
しかし、電装ガンのレスポンスに関しては、数値化可能です。
このあたりの基準を覚えておけば、まず騙されないかと思います。
以上、電子トリガー普及以前から電動ガンのレスポンスを研究しているヲタクの解説でした。
参考になれば幸いです。
※石岡様にアドバイスをいただき、一部修正しました2023/4/23
※追記修正2024/3/19