※2025年1月に加筆修正
電動ガンのカスタムにおいて、モーターの交換は費用対効果が優れているといえます。交換しただけで大きく動作がかわるのはモーター交換の醍醐味です。
しかし、電動ガン用のモーターはかなり多く流通しておりますのでどれを選んでいいのかわからないと思います。
ですので、インドア大会の優勝機の作成も数多く行ってきた私が、普段使っているモーターを中心にご紹介しようと思います。
2024年にブラシレスモーターの新製品が複数発表されており、それも含めた内容に加筆修正しました。
参考に今までのカスタム動画を貼っておきます。
一番初めの銃は某インドア大会で優勝してます。
目次
モーター交換の注意事項
「電動ガンをカスタムする際にモーター交換はメカボックスを分解せずに行えて簡単だ」
こんな売り文句を見かけることもあるかと思いますが、それは大きな間違いです。
電動ガンの分解は、以下のようなリスクのあるカスタムになります。
・モーターのシャフト及びピニオンギアが配線に引っ掛かり分解不能になる
・想定以上のスピードが出てしまい、クラッシュの原因になる
・クラッシュした際に、想定以上のトルクで被害が拡大する
・上記のすべてが発生する
このように、モーター交換は上級者向けのカスタムになります。
そもそも、モーター交換の際には基本的にはピニオンギアを交換する必要があり、それを行わないとギアノイズやギアのクラッシュに繋がり、むしろ逆効果になります。基本的にはベベルギアとモーターは揃えて使うべきです。
ですので、モーターを社外製品に取り付ける際はピニオンリムーバーの購入が必須です。
海外製品だと、メーカーを合わせても使えないなんてこともあるので、持っておくとよいでしょう。
※ピニオンリムーバーは安物を買うと軸がもげますのでご注意ください。
電動ガン用モーターの種類について
電動ガン用モーターに関しては、ハイスピードモーターやハイトルクモーターの2種類があるとされているものの、正直なところメーカー基準で設定されているので、ハイトルクと書いてあるのにスピードよりだったり、その逆だったりとあまり信用できるものではありません。
チェックすべきポイントは、使われている磁石の特性でしょうか。
基本的に、安価なフェライトが使われているモーターは値段が安く、どちらかというとスピードよりで無負荷のサイクルが高めで、高電圧に弱いです。レアアースであるネオジムやサマリウムコバルトは高価ではありますが、高電圧にも強い傾向にあります。もちろんそこだけでは判断できない例外的なモーターもあります。
つまるところ、理想のサイクルやレスポンスに合わせた適切なモーターを選択しなければいけないので、同じようなセッティングの情報を探すのが手っ取り早いです。
こちらの記事でももちろん紹介しますが、TwitterやAmazonのレビューに情報を載せてくださっているケースがほとんどなので、そちらを参考にしながら選ぶとよいかと思います。
【ブラシモーターとブラシレスモーター】
電動ガンのモーターは一般的にはブラシモーターが主流でした。
電動ガンにおいて重要なポイントだけを記載すると、
ブラシモーターとはコイルが巻いてあるローターと呼ばれるパーツが回転する構造になっています。
対してブラシレスモーターは中のマグネットが回転する構造になっています。
なのでブラシレスモーターは回転体が小さくねじれが少ないので、射撃時のねじれが少ないです。
また、放熱効率も良いとされておりますし、最近のモデルでは燃費が3~5倍良くなっています。
まとめると、ブラシレスモーターは以下の特長があります。
・燃費が良いものが多い
・グリップのねじれが少ない
・値段がブラシレスモーターと比較するとやや高い
【中級者~超上級者まで、汎用モーター】
サイクル&トルクを可変にできるモーターが存在しており、
これは正直後述するモーターのほぼすべての性能を再現できてしまいます。
簡単に言えばすべての上位互換になりうるモーターということです。
さらに現状2つあるモーターはそれぞれ逆転防止ラッチを必要としない構造となっており、
ローコストで組みたい場合か決まった性能が欲しい場合以外はこれ一択だと思っています。
HTGベーシック MUGEN 無限 ブラシレスモーター
個人的に2025年現在で最強のモーターです。
お値段は20000円と高価ですが、それ以上のパフォーマンスなのでコスパもいいと思っています。
・サイクル/トルク可変
・マックスパフォーマンスも非常に高い
・逆転防止ラッチを必要としない
・国内サポート完備
ハイチューン機を組みたいならこれを買えば間違いないです。
また、最近ではスリムタイプやバージョン3用、トレポン用など幅広いラインナップです。
注意点としては、欲を出してあまり高いセッティングにしてしまうとクラッシュしますので、
注意して使ってみることが大事です。
7.4v使用時に30000回転以上は上級者用と考えるのがいいかと思います。
トルクもデフォルトの60%で良いでしょう。
サイクルとトルクの設定には専用のコントローラーを使います。
【中級者向け電動ガンモーター】
スピードを上げすぎず、性能アップを図りたいときにおすすめのモーターを紹介します。
ピニオンさえ交換できれば基本的なセッティングのエアガンには搭載可能で、バランス変更をしなくても使えるであろうモーターです。
とはいえ、前述の通りポン付でモーター交換は危険なので、カスタム初心者にモーター交換は推奨しません。
どうしても交換してみたいのであれば、カスタムショップさんと相談しながら依頼するのをおすすめします。
東京マルイEG1000
天下の国内産優良モーターの代表格です。
程よいスピードとトルクで中華製品が国内産レベルになります。
ピニオンギアが柔らかいので、海外製品に使う際は交換が必要です。
3,000円程度なのでコスパも良いです。
ちなみに、EG700の後継機にあたりますが、EG700も良いモータですので、
わざわざ新品から交換する必要はないかと。
HTGベーシック 玄 KURO モーター
海外製電動ガン標準装備のモーターを交換して手軽にレスポンスとサイクル向上ができるモーターです。
最近カスタム界隈で話題のHTGベーシックのカスタムモーターで、ダブルイーグル製の電動ガンにベストフィットします。
値段と性能のバランスも良く、かなり使い勝手のいいモーターなので海外製電動ガンのライトチューンにピッタリです。
後述するSPARKイナズマモーター、守護神ハイトルクモーターあたりと使いわけになると思います。
個人的には7.4vでバランスよく組みたい場合にはこちらをチョイスします。
HTGベーシック MUGEN STD 無限 ブラシレスモーター
ブラシレスモーター入門機。
ブラシレスモーターを初めて使うならおすすめです。
ぶっちぎりにブラシレスモーターの中では安いです。
お財布に余裕があるなら、逆転防止機能付きの上位モデルか、前述の最上位モデルを選ぶのが良いでしょう。
細かくサイクルのラインナップがあるので、好きなものをチョイスしてください。
個人的には28kあたりがおすすめです。
上位モデル
東京マルイサマリウムコバルトモーター
高トルクでサイクルは控えめなかなり使いやすいモーターです。
消耗も気にしないのであればぶっちゃけDSGカスタムでも使えます。
しかし、値段が高いので交換の際の優先度はあまり高くありません。
東京マルイ製品をワンランク上にあげたい際には一考の余地ありです。
※東京マルイハイサイクルモデルに搭載するとサイクルは3~4程度落ちます。
SPARKイナズマモーター
SPARK(AIRSOFT97のオリジナルブランド)製のモーターです。
EG1000からスピード、トルクともに底上げしたようなスペックです。
ピニオンギアがいろんなメーカーを研究して作られているので交換不要…とのことですが、
メーカーによってはひどい製品差もあるのでケースバイケースですね。
バランスの取れたいいモーターではありますので、EG1000と比較する形になるかと思います。
リポバッテリー前提であればこちらがいいと思います。
G&Gイフリート25Kモーター
最近爆発的に増えたG&G製品の中でも、安価なエントリーモデルをランクアップさせるのに使えるモーターです。
G&Gの海外モデルや、上位機種には搭載されているケースも多いですね。
DSGなどのハイエンドカスタムにも使え、11.1vも対応するモーターです。
7.4vで使えば程よいサイクルと程よいスピード、11.1vで使うとハイトルクハイスピードで、幅広い用途で活用できます。
ピニオンギアはかなり相性が出るので、社外製品に取り付けの際は要注意です。
ちなみに発熱がひどい場合はシャフトのシムを1枚外すと改善することもあります。
G&Gバジリスク17Kモーター
トルクだけ欲しい場合や、サイクルを下げたい場合に使いやすいモーターです。
最近はセミオート戦がメインのフィールドも増え、あまりサイクルの高いモーターを使わないという方も増えたのではないでしょうか。
びっくりするほどサイクルは落ちますので、一般的なセッティングだと、むしろレスポンスが落ちることすらあるかもしれません。
少し特殊なモーターですが、ローサイクルのDSG機など、DSGカスタム入門にはおすすめできるモーターです。
イフリート同様に発熱がひどい場合はシャフトのシムを1枚外すと改善することもあります。
SHS守護神ハイトルクモーター
昔はバッテリーバカ食いモーターとして名を馳せていましたが、最近ではバランスの良いトルクモーターに落ち着いています。
そのままでもレスポンスアップを期待できますし、DSGの入門用としても使えます。
真価を発揮するのは11.1vでハイサイクル、ハイレスポンスになります。
また、カスタムギアとして有能なSHSのギアと同じメーカーにあたるため、ピニオンギアが流用でき、かなり重宝します。
現在私も良く使っており、コスパも合わせてかなり有能なモーターと言えます。
ロネックスA4モーター
今までと違い、ハイスピード系のモーターです。
それなりに早いので、セクターカットが必要になる場合もあります。
トルクはあまりないですが、それなりにスピードは出るのが体感できるモーターだと思います。
ピニオンギアは交換推奨です。
【中~上級者向け電動ガンモーター】
ここからはそれなりにカスタムをした銃に搭載すべきモーターを書いていきたいと思います。
そもそも、内部強化をせずにモーター交換自体が危険ではありますが…
ロネックスA2
高トルクモーターで、昔からロネックスシリーズでは人気があるモーターです。
11.1vでハイエンドカスタムに使用されることも多かったですが、7.4vで運用する際はサマリウムコバルトモーターの代用になるくらいのモーターだと思います。
DSGでバランスよく組みたい時にもおすすめできる有能モーターです。
ピニオンは交換推奨です。
チハイモーター 48000rpm
フェライト磁石なので安価ですが、その割にかなり回ります。
コスパ抜群で最近人気のシリーズになっています。
11.1v対応とはあるものの、磁石がフェライトな点は心配ではありますが、使いつぶしても3,000円程度なので、高いモーターを買うよりこちらを2つ買う方がコスパ良かったりします。
トルクに関してはそこまで無いですし、回転寄りのモーターという印象です。
ZCハイトルクモーター
ハイトルクといいつつ、そこそこ回るモーターです。
G&Gのイフリートと同等のスペックですが、ピニオンギアが違います。
個人的にはこちらの方が使いやすい印象です。
【上級者向け電動ガンモーター】
ここからは上級者向けのセッティングがかなり難しいモーターをご紹介します。
正直、ベンチマークや競技用のレーシングモデルに近づいてきます。
注意して使ってみてください。
すでに記載のあるモーターでも、11.1vを使うと上級者向けのモーターになるものがほとんどです。
秒間40程度までは7.4vでも到達可能ですので、無理に負荷の高い11.1vを使うのはお勧めできません。
某インドア大会のトッププレイヤーのエアガンでも7.4v運用が比較的多いです。
ロネックスA1+モーター
言わずも知れた超ハイトルクモーターです。
ロネックスシリーズのフラッグシップモデルです。
A2よりも高回転で、トルクはほぼ同等。
正直日本の初速でフルスペックで使うのは難しいです。
正直記載しているモーターの中ではコスパは悪い印象です。
財力のある方はどうぞ。
AIP40000
ピニオンギアが崩れるので絶対交換してください。※代理店も交換推奨してます。
バッテリーバカ食いトルクモーターです。
トルク寄りにも関わらず、EG30000と同程度回転します。
燃費を切ってもいいような大きいバッテリーが積める電動ガンには使えるモーターです。
マルイのハイサイクルのセッティングで、スプリングを強化した際にサイクルを落とさないで運用できたりします。中身はもちろん強化が必要ですが。
秒間30発で初速95という仕様をお気軽に作れます。
ギアはSHSあたりで統一すれば低コストですね。
option№1ブラシレスモーターエントリータイプ
エントリーモデルではあるものの、使いこなすのはかなりの難易度。
ピニオンギアも専用品で、相性のいいベベルギアを探すしかない。
※とりあえずマルイのベベルギアは使えなくはない
モーターのシャフトをD型に合わせて削ることで、D型ピニオンを使用できるが自己責任で。
電子トリガーは併用可能なものも多いが、アクティブブレーキに極端に弱いため、注意が必要。
ブラシが無いから長持ちする…なんてこともなく、発熱で磁気が飛んだりするので、あまり高負荷セッティングには向かない。
option№1ブラシレスモータートルクタイプ
上記のモデルでのトルクよりといいつつ、かなりハイサイクルよりのモーターなので注意が必要。
後発のブラしレスモーターを使うのをおすすめします…
電子トリガーとの相性もあり注意が必要。
【番外編 超上級者向け電動ガンモーター】
ここからは、ハイサイクルのベンチマークを求める方や、YouTubeのネタにしたい方など、
特殊な方だけご参考にしてください。
BigDragon 電動ガン M160 ウルトラハイトルク ハイツイストタイプ高速モーター
お気軽に秒間60発は出せます。
DSGをセクターカットしているような方はどうぞ使ってみてください。
7.4vでも秒間50発出せるようなモーターです。
G&P M180S サタンモーター
完全ベンチマーク用です。
知人がこれで秒間90発以上を出しています。
超上級者だけどうぞ。
AIP50000モーター
AIP40000をスピードに寄せた感じです。
箱出しに搭載すると即クラッシュするとして有名ですね。
しかし、しっかりと対策をしたうえで運用すれば化け物で、簡単に秒間50オーバーが目指せます。
これの上位機種にあたるAIP55000もありますが、国内で使う人いるのでしょうか…
いたらお友達になりたいです。
その他海外製ブラシレスモーター
基本的には国産のブラシレスモーターとそこまで大差はないとの情報をいただいております。
カタログスペック上は高かったりしますが何とも…
T238ブラシレスモーターは、調節ねじがあり回転数が調節できるみたいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
最新のモーターも含め、それなりに多くのモーターをご紹介できたかと思います。
モーター交換はセッティングに合わせて行うべきで、「これが最強」みたいなものはありません。
これはカスタムパーツ全般に言えることだと思います。
正直、他にもたくさんモーターは使っておりましたが、特筆することが無かったりするものは割愛しております。
そこまで安い買い物ではないですし、意外にインターネットに情報が無かったりしましたので参考になれば幸いです。
執筆者
エアガン大好きお兄さん
エアガンカスタム歴10年以上。某インドア大会優勝機作成や、メンテナンススタッフなどを経験。