▸ BALLISTICS / 弾道解説

フラット弾道」は
物理的にあり得ない

▶ THE FLAT TRAJECTORY MYTH

サバゲー界隈で長年まことしやかに囁かれている「フラット弾道」。「俺の銃、40mまで完全に水平にまっすぐ飛ぶ」――フィールドでも、ネットのレビューでもよく見かける言葉です。しかし結論から言うと、大気圏内を飛ぶBB弾が水平な直線のまま飛び続けることは、物理的に絶対にあり得ません。

▸ MYTH / よく聞く話
俺の銃、40mまで完全に水平にまっすぐ飛ぶんだよね

スコープのレティクルに吸い込まれるようにBB弾が飛んでいくと、あたかも「レーザービームのような直線」で飛んでいるように見えるものです。ですがそれは「フラットに見えている」だけで、実際には激しく浮き上がっているのが現実。この錯覚に気づかないままだと、「狙ったはずの場所にどうしても当たらない」という致命的なミスの原因になってしまいます。

01

なぜ「フラット」はオカルトなのか?

// THE PHYSICS BEHIND BB FLIGHT

BB弾が空気中を飛ぶとき、かかっている物理的な力はシンプルに3つだけです。

FORCE 01
重力
地球が引っ張る力
FORCE 02
空気抵抗
進むのを邪魔する力
FORCE 03
揚力
ホップによるバックスピン

ホップアップ機構によって「重力と揚力を相殺させてまっすぐ飛ばす」というのがフラット弾道の理論ですが、ここに大きな落とし穴があります。

▸ KEY POINT
BB弾のスピードは、空気抵抗のせいで発射された瞬間から猛烈に減速し続けている。弾速が落ちれば、当然ながら弾を浮き上がらせる「揚力」も一気に弱くなる。

つまり「減速していく弾を、徐々に弱まる揚力で支える」ことになるため、全区間で均一に力を相殺させることは不可能です。実際のBB弾の軌道は、私たちが思っている以上に歪なカタチをしています。

DIAGRAM 実際のBB弾の軌道(イメージ)
0m 10m 20m 30m 40m 想像:水平直線 ↑ 約10〜20cm 浮き上がっている 着弾
実際の弾道 想像(フラット)

銃口を出たあと、中盤に向けて「上に凸」のカーブを描きながら明確に浮き上がり、後半は揚力を失って急激に失速・落下していく。30m〜40m付近でフラットに見えている銃ほど、実はその手前で10cm〜20cm近くも上空に浮き上がっている(山なりの軌道を描いている)のが物理的な現実です。

02

なぜ僕たちの目は騙されるのか?

// THE VISUAL ILLUSION

これほど曲がっている軌道が、撃っている本人には「水平な直線」に見えてしまう理由は大きく2つあります。

「真後ろから見る」ことによる空間の圧縮
射手はBB弾を真後ろ(同軸上)から観察することになります。40メートル進む間に、上下に10〜20センチ浮き上がっていたとしても、真後ろから見ている人間の目には、その上下動が奥行きの中に完全に圧縮されてしまい、ほとんど認識できなくなってしまいます。横から見れば明らかに「ふわっ」と浮いているのに、後ろから見ると直線に見えてしまう――最大の視覚トリックです。
光学機器(サイト)による補正
スコープやドットサイトの「視線」は完全な直線です。これに対して、銃口はゼロイン(特定の距離で視線と弾道を交差させる調整)のために、わずかに「上を向いて」セットされています。レティクルの中心(視線)に対して、弾は下から上に突き抜け、ホップの力で視線の上側を並行気味に飛び、最後にまた視線を割り込んで落ちていく――。この「視線と弾道がたまたま重なっている一瞬の期間」だけを脳が切り取るため、僕たちは「水平にトレースしている」と錯覚させられているに過ぎないわけですね。
03

【実戦での弊害】だから狙ったところに当たらない

// REAL-WORLD CONSEQUENCES

「錯覚でも、最終的に狙った40m先で当たれば問題ないんじゃない?」と思うかもしれません。ですが、ここに実戦での大きな罠が潜んでいます。「フラットに飛んでいる」と信じ込んでいると、以下のようなシチュエーションで確実に弾が外れる、あるいは障害物に吸い込まれる原因になります。

▸ CASE 01
30m付近のバリケードから頭を半分だけ出している敵
まっすぐ飛んでいると思っているので頭を狙って撃ちますが、実際には弾がその手前で「浮き上がって」いるため、敵の頭上を虚しく通り過ぎてしまいます。
▸ CASE 02
隙間の狭い「射撃窓(スリット)」を通す射撃
スコープ上では窓の向こうの敵を捉えていて、障害物にも干渉していないように見えます。しかし、弾は手前で山なりに浮き上がるため、窓の上のフチ(障害物)にガツガツと当たってしまい、向こう側へ弾が通りません。
▸ CONCLUSION
「サイトの真ん中で捉えているのに、なぜか当たらない」という現象の多くは、銃の精度不足ではなく、この「脳内のフラット弾道」と「実際の曲線弾道」のズレが引き起こしています。
04

自分の銃の「本当の姿」を知る方法

// KNOW YOUR REAL TRAJECTORY

オカルトを排除し、自分の愛銃が「何メートルで、実際に何センチ浮き上がっているのか」を正確に把握することは、サバゲーで確実にヒットを取るための絶対条件になります。とはいえ、目で見て確認できないものをどうやって計測すればいいのか――。そこで非常に役立つのが、インターネット上で複数種類公開されている「弾道予測ツール」です。

▸ FREE TOOL / 当サイトの弾道計算
電動ガン研究所
「弾道計算フォーム」
「BB弾の重さ」「初速」「ホップ回転数」などの数値を入力すると、人間の目の錯覚を一切排除した、物理法則に基づく厳密な弾道データをグラフで可視化。「40mでゼロインしたとき、手前の30m地点では実は何センチ浮いているのか?」が一発でわかります。一度これを見ておくだけで、フィールドでの狙い方がガラリと変わるはずです。
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SUMMARY / まとめ

「フラット弾道」という心地いい言葉は、僕たちの目の錯覚が生み出した幻想に近いものです。

本当に狙った場所に弾を送り込みたいのであれば、綺麗にまっすぐ飛ぶ魔法を追い求めるのではなく、「弾は必ず曲がって飛んでいる」という物理的な現実を受け入れることが大事です。

一度、ツールを使ってご自身の銃の「リアルな弾道」を覗いてみてはいかがでしょうか?